第52回高知県精神保健福祉大会における座談会

「音楽は、こころのビタミン」(平成24年9月20日木曜18時、高知会館にて)

【出席者】
濱口眞鈴 いきいき百歳体操(介良中野公民館)
弘田恵津子 高知ジュニアオーケストラ指導者
香南ジュニアオーケストラ
森岡由紀 森岡由紀音楽療法研究所
井上新平 高知県精神保健福祉協会会長(高知大学医学部教授)
弘井正 高知県精神保健福祉大会実行委員長(細木ユニティ病院医師)
【座談会】
濱口  介良中野公民館での「いきいき百歳体操」を任されてます。自分が音楽が無くては生きていけないような子供だったので、体操だけではなく楽しみも持ちたいと思い、週2回の体操に季節と「貯筋」をテーマに、音楽を取り入れています。
 また、コーラスにも参加し、最近の震災をテーマにした曲では、内容もあって、ハーモニーが合わさった時の心地よさを体験しています。
 いきいき百歳体操の参加者は、平均年齢が75歳くらい。家でひとりしゃべらないような人が、体操をして唄を歌い、「かみかみ体操」にもなると喜んでもらっています。
弘田  音楽教室で教える一方、ジュニアオーケストラでの指導もしています。音楽はたくさん聞きもし、演奏もしていますが、音楽以前に、音そのものが人のこころ、いる場、空間に与える影響について関心をもっています。
森岡  音楽療法士の仕事を始めて9年になり、病院や高齢者の施設で仕事をするほか、学生の指導もしています。今大会講師の岸本先生とは、自分の父親が親しく、高知医療センターのミニコンサートでご一緒したことがあります。
弘井  岸本先生はお母様が邦楽の師範で、小さい時から尺八に親しむ一方、ビートルズが好きで大学生になって留学中にアメリカでの音楽活動が認めれました。今大会では岸本先生のお話を聞けるだけでも楽しみです。
井上  音楽はなぜいいのでしょうか。
濱口  昔、何気なく歌っていた童謡唱歌の歌詞を、歌う時に書き出してみると、美しい景色などがうたいこまれていることに驚きます。
森岡  施設のお年寄りに、懐かしい歌を若い人に聴かせましょう、日本の良さを伝えましょう、と役割や目的をもってもらうと、練習の前に体操を始めたり一生懸命取り組んで下さる。体調が悪く演奏に参加できない人でも、その場に来て歌を聴きながら涙を流しておられる。そのような場に身を置くと、音楽療法のかかわっているものとして、鳥肌が立つ思いがします。
濱口  私もコーラスで施設を訪問し、私たちの歌った唄に、何か思い出があるのか、目の前で涙を流される方があり、こちらももらい泣きをした経験があります。
井上  認知症の方は、歌を覚えている、忘れません。音楽療法のメカニズムとはどのようなものでしょうか。
弘田  音の持つ周波数が、人の心に同調するという説もあります。またNHKでも放送された、脳科学者ジル・ボルト・テイラー博士の観察では、ご自身の左の脳に出血し機能が衰えていく過程で、得も言われぬ至福感に満たされたという報告があります。普段、論理などをつかさどる左の脳が優位にあるものが、逆に右の脳が活性化したということでしょうか。音の周波数によって、脳の働きに影響を与える、そんな音楽になれば、ということになるでしょうか。
弘井  名演奏家には女性が、作曲家は男性という違いもあります。
井上  研究によれば、リズムは明らかに女性の方が優れています。男性の高齢者はどうでしょう。
森岡  性差もありますが、肉体や社会での役割の違いもあったので、たとえば施設で演奏をするときに、大きな楽器、太鼓などを受け持ってもらうと、他の人の出来ないことをはやす役割にたいそう熱心に参加してくれます。
弘井  音楽を聴くだけでいい人もあれば、演奏に身を置いて、自分の位置を確かめる、取り戻すという集団療法としての成り立ちもあります。
井上  現代では、ひとりでいることが多い。ひとりでいても音楽で元気になることが出来るでしょうか。
森岡  好きな曲を聴く、好きな人の声を聴く。静かになりたいときは無音を求めることもあるのではないでしょうか。
弘田  私は、人の声の周波数が持つ特徴が、その人の心か体の状態を現しているのではないか。 それに響きあう同調するような音に関心があります。 声を出してみるだけでも、呼吸を通じて身体的なマッサージ効果もあります。
濱口  高い音低い音をちゃんとだすためには、よい姿勢と背筋腹筋が必要です。
弘井  よい演奏、よいコンサートを聴いた後の高揚感、グルーブ感というものは、みんなおなじものかどうかはわからないけれど、確かに響きあうものがあると思います。

いろいろなお話をありがとうございました。