日本は災害の多い国といわれる。その中で、先人達は、その環境を乗り越えてきた。大変な状況ではこころが折れてしまうこともある。大変な時にこそ、どのようにこころを守るか、「こころのケア」についてお話をしたい。
この度は、第60回高知県精神保健福祉大会にご参加いただき、ありがとうございました。大会実行委員長として、ひとことご挨拶申し上げます。
新型コロナウイルスが周期的に感染拡大を繰り返し、我々の日常生活は一変してしまいました。不要不急の外出、大勢の人が集まる機会を控えるよう求められ、人との交流、つながりが乏しくなり、精神的支援が必要な人たちにとっては望ましくない状況が長期間続いています。また、集中豪雨は毎年各地で発生し、南海トラフ地震はいつ起きてもおかしくないと言われ、こうした自然災害の発災後は厳しい避難生活や困難な生活状況が長期間続くことになります。人命救助や負傷者に対する救護活動が優先される一方、大きな精神的ダメージを受けながらもこころの支援を受けるのが遅れたり不十分であったりするのが現状です。
日常を大きく変えてしまう大変な時こそ、色んな方々の支えが必要となり、ひとりで悩まず助けを求める時ではないでしょうか。大変な状況にある皆さんを助け、支えてくれる人達は必ずいますし、今そうした体制ができつつあります。こうした思いから、今大会では、自然災害や新興感染症をなど、大変な時における「こころのケア」をテーマに取り上げ、皆さんと一緒に考える機会にしたいと思っています。
今年はコロナ禍での開催となりましたので、精神保健福祉協会のホームページ上で、WEBにてお二人の先生方よりご講演を賜る形式とさせて頂きました。筑波大学医学医療系災害・地域精神医学准教授で茨城県立こころの医療センター地域・災害支援部長・室長の高橋晶先生からは、自然災害と新型コロナウイルス感染症において、最前線でこころのケアを行ってきた豊富なご経験から、「大変な時にこそどのようにこころを守るか」という視点でお話しをして頂きます。日本看護連盟常任幹事の尾形妙子先生からは、東日本大震災にて愛するご家族を失った被災者として、また救護活動や復興活動に携わった支援者として、辛いご経験を通して我々に貴重なメッセージを下さいます。WEB形式のため残念ながら例年のようなシンポジウムや意見交換はありませんが、きっと皆様にとって大切な時間となるでしょう。
WEB形式ではありますが沢山の皆様が本大会にご参加下さり、お二人の先生のご講演が「大変な時」のこころのケアについて皆様の気づき、こころの支えとなり、明日からの行動変化につながれば幸いです。ひとりで悩まないで下さい。必ず支えてくれる人がいます。
筑波大学医学医療系
災害・地域精神医学 准教授
茨城県立こころの医療センター
地域・災害支援部長・室長
高橋 晶
* 動画配信期間:
10月27日(水)10:00〜11月2日(火)18:00まで
日本看護連盟 常任幹事
尾形 妙子
* 動画配信期間:
10月27日(水)10:00〜10月28日(木)10:00まで